硯 箱 の 筆

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節分は昨日

なんだけど、気にしない!

というわけで小話一つ折りたたみ。
今回は狐で、たまには設定生かそう、とシリアス風味で書き始めたらなんかおかしいのに仕上がった。
───が、そんなのは今更なので、気にせずにいようと思います。
一応節分でw

昨日今日といい天気で、家事がはかどりますv
洗濯とか、別に今しなくていいものまで洗ったりしてベランダがえらいことにww
掃除は大嫌いですが、洗濯は好きなのでした・・・。
とりあえず今から買い物行くぜ!

ではでは今日も佐幸なさいませv

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 ───その身には重かろう。

 その小さな体に抱えられはすまい、と低い声が言った。
 這うように伏せる体の上に降る声は、慈愛に満ちて哀れに満ちて、ひどく心に沁みた。 
 身に架すものを二つも抱えてどうする、潰れる前に寄越せとその声が言うのに、どうしても首を縦に振れなかった。
 これは自分が奪ったものだから。次に人に成るあの人には不要だと、鬼の証であるそれを、人には成らない自分が奪ってきたのだから。

『これはあの人にはいらないのものだけど』

 自分にとって唯一だった人の、鬼の炎。きっともう巡り会うこともないだろう人を恋慕うよすがに、あの人から奪った。
 奪っても自分に制御などできないそれは、ただ身の内に抱えるしかできないけど。

 焼けて死んでも。
 闇に呑まれても。
 ───あの人を忘れてしまっても。

 自分以外の誰にも渡せない。渡さない。
 これがあれば、自分は何になったって生きていけるのだから。





「───実はお前はバカだろう」
「ひどい~~~~~~~」

 担がれた肩の上でハフハフと荒く息を繰り返しながら言う言葉に幸村は呆れつつ笑うしかなかった。
 ぐったりと肩に凭れる佐助は、つい先程まで真田家において冬の必需品であるコタツの中で焦げる寸前になっていた。

「温まるにしても限度があるだろう」
「しらないうちにねちゃったんだもん」

 なんか夢も見てた、と呟く言葉は思い出せないことが不満だというのを隠さない響きだったが、幸村からすれば夢よりまず熱のこもったこの体の方が気になる。
 学校から帰ってきたばかりの冷えた体に熱く感じるだけかもしれないが、それにしたって熱すぎると思う。
 制服や毛皮越しでこれほどに熱く感じるのだから、毛皮の下の体は大丈夫なのかともぞもぞ手を這わせば、くすぐったがって肩から降りられてしまった。

「もー。くすぐったいってば」
「あまり熱いから心配になっただけだ」
「おれさまあやかしなんだよ? ちょっとあついぐらいなんでもないったら」

 まあさすがに死ぬかと思ったけど、と大げさに聞こえる言葉は、佐助からすれば冗談で、幸村からすれば笑えない事実だ。
 知らず出た溜息を聞きつけた佐助が、幸村の胡座の膝に前足を掛け尖った鼻面を寄せ長い舌で頬を舐める。それを合図に改めて小さな体を抱き上げて。

「───あまり心配させるな」
「でもあったかいでしょ?」
「・・・まあな」
「でしょ! 旦那がかえってきたらおれさまをだっこしてあったかくなれるようにって、ぬくまってたんだから!」
「・・・やりすぎだろう・・・」

 明るく返された言葉に思わず肩が下がる。こいつは本当にバカだ。
 いつものように買い物をしてから帰ってくれば、これも判で押したように玄関で出迎えてくれる狐の姿がないのに首を傾げ、名を呼びつつ居間に向かえば、寒いだろうからとつけっぱなしにして行ったコタツ───消していっても佐助は自分で電源を入れることができるが───の中でうんうん唸りながら佐助が眠っているのを見つけ引きずり出したのだ。
 コタツの熱に炙られてひどく熱く、水分が抜けたかのように力なくぐったりした体に慌てて抱き上げた時の衝撃はかなりのものだったのに。

「旦那、からだすっごいひえてるよ」
「今のおまえに比べればカイロだって冷たく感じるだろうな」
「そんなにあつい?」
「火傷しないのが不思議なほどだ」

 大丈夫なのだろうかと触れている体の熱さに心配しても、当の本人は平気そうな顔で首筋に擦り寄ってきてるから本当に平気なのかもしれない。
 その様子に諦めをつけて、帰り道に仕入れた夕飯の買い物の袋を手に取り、コタツの上に広げる。
 今日は節分だ。巻き寿司と鰯を食べ、豆を蒔くのだと朝から佐助が張り切っていたから、言われた通り───毎朝のチラシチェックのおかげだ───の品を買ってきた。

「まきずしといわし・・・てんぷらにしたの?」
「フライと悩んだが、天ぷらの方がおいしそうに見えないか?」
「・・・おれさまてきにはやいたいわしのほうがいいんだけどな」
「・・・食べるのか?」
「たべないよ! ついなのぎしきでやいたいわしのあたまをげんかんにかざるからだよ」

 天ぷらには頭がついてないでしょ、とコタツに前足を掛けてのぞき込む、その前足をタシタシと音をさせて言い張る言葉はこういう行事にはうるさい佐助らしい説教だ。

「いまどきに玄関に鰯が刺さってる家なんてないぞ」
「いわしのあたまもしんじんから! まったく、いつのまにこのくにはこんなにぎょうじにずぼらになったの」

 ぷんぷん怒って言うのは、狐が言うな、と思わず突っ込みたい台詞だったが、幸村は何も言わずスルーした。
 佐助はいつでもこんな感じだ。年寄りでも言わないんじゃないかというぐらい行事にはうるさい。

「・・・とりあえず豆を蒔くから」
「としのかずはよけてね」
「・・・本当に面倒だな」

 それでも言われたとおりに数え、皿を持ってくるほどでもなかろうとティッシュに置いていけば、年の数に一つ足すのだと言われて一つ足す。

「かぞえどしでかぞえなきゃ」
「・・・昔の日本人は何でこんなに面倒な行事を作ったんだ・・・」

 節分に限らないが幸村からすれば謂われのよくわからない行事が多すぎて、一人暮らしの身には少々持て余す。
 佐助がいなければしないだろうと思うこともたくさんあって、けれどそれが良いことなのか悪いことなのか───面倒なのは確かだ───幸村にはわからない。
 佐助用に二粒ほどよけ、残りを確認するため軽く振れば袋に残っていたのは二、三度蒔けばなくなるぐらいだ。けれど掃除も大変だし充分だろうと思う。

「鬼は外、福は内、だ」
「ま、おれさまがまもってるいえにおにははいれないけどね!」
「・・・守ってるのか」
「───なに、そのうたがってますー、なこえ!」
「気にするな。───じゃあ佐助が鬼で」
「ええ!? こんなかわいいおれさまがおに!?」
「この家には俺とおまえしかいないだろう」
「いや~ん!」

 胸を張って威張り、けれど幸村の言葉に大げさに嫌がりながらも───いつものムンクの叫び風だ───玄関に向かうべく抱き上げても暴れたりせず大人しい。
 ふと思いついてスーパーのレジのおばさんがくれた鬼の面を被せてみる。もちろん人間用のそれは狐の佐助には大きすぎて、ゴム紐を顎に掛ければただの帽子だ。

「・・・似合う、としておこう」
「なにそれ!」

 なんでわざわざ鬼を用意するの、と文句を言いながら幸村の腕から飛び降りて玄関のたたきに座る。神妙に座りながらも面で潰された耳が先だけピコピコと動き、尻尾も不機嫌に一振り動くのが面白い。
 それを横目に鬼は外、と一投げ。それは玄関の磨りガラスに当たってぱらんと落ちる。
 福は内。二投目は佐助の面の上にぱらぱらと降らせる。豆は紙製の面に当たって雨のように下に落ちた。

「・・・ぶつけるものじゃないの?」
「本気で投げてガラスが割れても困る」
「なるほど」

 痛いのはいやだろう、とは言わずにおく。言わなくてもへらりと緩んだ佐助の表情で察せられているのがわかったからだ。
 最後の一投はさっきの半分ぐらいしか残ってなかったので、玄関を開けて門に向けて撒く。これぐらいなら蟻や鳥が食べて掃除してくれるだろう。
 最後の言葉は鬼か福か悩んで、福は内にした。

「福が来るかな」
「とりあえずおにはこないね!」

 いえのなかにもいないよ、とたたきから框に上がって毛繕いをしている佐助が言う。

「おにはもともとひとだから、やさしいいきものなんだよ」
「へぇ」
「ひとにはすぎるぶぶんがおにになったり、かなしかったりおこってるきもちがしんでからものこってたりとか」
「・・・お前が言うと妙な説得力があるな」
「うふふん」
「子供に説教されてるみたいで釈然とはせんが」
「だったらおれさまがおとなになれるように、けいやくして!」
「いやだ」
「ひどいー!」

 門を閉めて玄関を閉めて。耳障りの良くない古いガラスの引き戸の立てる音が玄関中に響く。
 この小さな家には一人の少年と一匹の狐だけが住んでいる。
 ───ここに鬼はおらず、今はもう目覚めることもない。 





まさかの転生でした、狐。
最初からそのつもりで書き始めてたんですけど、まったくその雰囲気が書けてなかったので、無理矢理出してみた。鬼つながり!
佐助はコタツで転寝かまして暑さで色々夢に見ちゃった、という感じです。
胸の痣は実はそういうことでした・・・本人内緒とか秘密とか言ってるけど、実はちゃんとおぼえてないだけだったりするんですぜ☆
この二人は過去の記憶のない二人です。
いちゃいちゃ仲良く! ←今回いちゃいちゃしてない

冒頭の声だけの人は佐助の上司っぽい方で”おやまさま”です。
見る人によって姿が違う、という設定にしてます。
───こういう説明つけないと読めない話はどうだかなぁっていつも反省してます・・・orz

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  • 2011.02/26 09:57分 
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