硯 箱 の 筆

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えーぷりるふーるは苦手です

というわけで、今日は四月一日。

うぃきぺであによれば、

「2008年の4月1日は、エイプリルフールが創設され100周年となるため、世界的に4月1日に嘘をつくことは禁止されている」

らしいですが、どうなのかしら?

眠い頭で書くもんじゃないなぁと思いつつ、現代パロで小話ですー。 拍手する拍手する

エイプリルフールの今日、幸村は家から出ない。

「・・・良い天気だけど、外行かないの?」
「今日は一日家にいる」

しかも今年は猿飛家に篭城するつもりらしく、朝から大きなスーパーのビニール袋に菓子類を詰め込み、お気に入りの1リットルサイズ果汁100%のジュースを3本と着替え一式をナップザックに下げてきた。
そして、居間のソファセットに座る佐助の足元に陣取り、その両足に挟まるように座って膝に頭を凭せ掛け甘えていた。

エイプリルフール。
四月馬鹿といわれる、たわいない嘘をついてもいいという行事を、幸村は非常に苦手としていた。

「・・・大体が行事としてそのような物があること自体が間違ってるでござる」
「うんうん、そうだねー」
「嘘をつくなど、よいことではないとわかりきっているのに何故わざわざ嘘をつくのだ」
「確かに、確かに」
「人を騙すなど、卑怯者のすることでござる!」
「まったくその通り」
「───佐助」
「はぁい?」
「人の話を聞いてるでござるか?」
「聞いてるから返事してるんだよー?」

幸村は非常に騙されやすい。
それは少し付き合ってみれば解ることで、そして本人にも自覚はあるらしく。
しかし自覚したところで騙されることそのものを防御できるわけでなく、相手の思う壺に騙されるものだから、この数年はその日一日家に篭城し他人には極力会わないという、幸村らしからぬ消極的な方法を取っていた。

「佐助まで某を馬鹿にする」
「馬鹿にはしてないけど。家にこもって逃げてる旦那はらしくないなーって思うだけ」
「・・・会話のすべてを疑ってかかるのに疲れたでござる」
「騙すより騙されるほうがマシだって言ってたのにねぇ?」
「それは変わっておらぬが、わざわざ騙されるために外に出るのはいやでござるよ」
ここにいれば、誰も某を騙さぬ。

大きな溜息と憂鬱に曇る顔とで佐助の膝に甘えて。

(・・・去年大将に騙されたのがよっぽど堪えたんだな・・・)

去年、信玄は幸村を騙すつもりで仕掛けたのではなく、ただちょっと初心な幸村をからかおうと小さな冗談を言った。
そしてそれに信玄が思う以上に騙されて、慌てて訂正をかけたものの『お館様が某を騙そうとした』事実に幸村は打ちのめされた。
目の前でそれを見ていた佐助からすれば、本当に些細な、騙すというよりホンの冗談でしかありえないことに引っかかる幸村の方がどうかしてるんじゃ?という状況だった。

その後打ちひしがれてよろよろと部屋に戻る幸村の後姿を横目に信玄のほうを振り返れば、これまた(結果的に)騙してしまった罪悪感で打ちひしがれる巨体がソファに蹲っていて。
師弟(ではないが)揃って一体何だお前ら、と呆れた溜息しか出なかった去年の出来事である。

そして今年は信玄にも会わないとプチ家出をしたという次第には呆れるしかない。

「もう大将も旦那を騙したりしないと思うけど?」
「それは解っておるが、それで気を使われるのも嫌でござる」
「でも家出なんかしたら大将が気にして可哀想じゃない」
「お館様には佐助と遊ぶために外泊をすると言ってきたでござる」
「・・・それって微妙な言い訳・・・」
遊ぶための外泊なんて、普段しないくせに。

どちらにしろ仕事で夜までいないのだから、幸村が外泊などしなくても顔を合わせずに一日を終わらせることなど容易だ。
それをあえて家から出るなど、去年のことを引き摺って避けられたと信玄は思うだろう。

(あとでメールしとこうか)

こうなると佐助も保護者となんら変わるところがない。
向こうから本当に幸村がいるか確認が来る前に、詳細を送って多少なりショックを緩和させてあげるのが親切というものだ。

「じゃあまあ、なんかする?」
「・・・したいこともないな・・・」
「テレビ見るのでもゲームするのでも。普段しないんだから、思う存分どうぞ?」
「佐助は何をするのだ?」
「・・・まずは昼の用意かな?」

膝の間から仰向いて見上げてくるのに視線を合わせて答えれば、ぱっと表情が明るくなる。
一人だと朝も昼も簡単に済ますが、来客があるならば(しかもそれが幸村であるなら尚更)少しちゃんとした物を作らねばなるまい。
朝からの襲撃で買い物にも出られなかったから、家にあるもので済ませなければならないのがちょっと厳しいが、あからさまに喜ぶ顔をされてはどうにか腕を振るおうというものである。

「何か手伝うことはないか?」
「んー?お客さんなんだから座ってな」
「座っていても仕方ないでござるよ」
「うちの台所は狭いんだから。邪魔になるから座ってて」
「・・・じゃま・・・」
「ジャマ」
「佐助は某に厳しいでござる・・・」
「嘘つかれんのやなんだろ?」

ぐしゃぐしゃと髪をかき混ぜながら、凭れている頭を避けて立ち上がる。
座る幸村を跨ぎ越して台所に向かえば、じっとこちらを見つめる視線が背中に刺さり、肩越しにその視線の元を見やれば、ぷうと膨れた顔をソファに埋めるようにしている姿が目に入った。

(まったくねぇ)
何と可愛らしいことかと、その表情を見て思う。

幸村の表情の豊かさは見ているものを自然に和ませ、ふわふわとした幸福感を運ぶ。
笑顔はもとより、驚いた顔や感動している顔でも和めるものだから、皆がこぞって今日という日に騙しに掛かる気持ちは非常に理解できるのだ。

(俺もなんか言ってみたいねぇ)
幸村からの、絶対の信頼があるから騙すようなことはしないけれど。
何か幸村が驚くようなことで、本当のことはないだろうか。

(あ、そだ)
「ねえねえ旦那」
「なんでござるか?」
「今から俺様がねぇ、愛しのダンナサマにおいし~~~~いご飯作ったげるから、もうそんなに拗ねないで?」
「・・・さすけ?」
「俺様の愛情、たあっぷり入れたげる~」
「さ、佐助!なんでござるかそれは!」
もしやからかってるのでござるか!?と噛み付かれても。

「俺様、旦那には嘘はつかないよ~?ぜーんぶ、ホントのこと」
ねぇ、愛しいダンナサマ?語尾に大きなハートマークでもつきそうな甘い口調で言えば、みるみる幸村の顔が赤くなって。

「破廉恥でござる!」
「ホントのこといって破廉恥とか言われてもね~~」
嘘よりマシでしょ?と嘯けば、無言の幸村がやってきて、赤い顔のまま背中に一つ拳をくれた。

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