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とりあえず一個書いた

あまりいちゃいちゃしてない真田主従。
うーん、いちゃいちゃしたのが書きたかったはずなのに。

とりあえず、一個。
時間できれば、いちゃいちゃ書きにチャレンジ。 拍手する拍手する

ふわふわと浮かれたような気候が人の気を浮つかせるのか、単に幸村がそういう人物なのかはわからないが。
ただいま、上田城の一室では雛祭りの行事───といっても、ただ女子供衆が昼日中から飲み食いしているだけである───が行われていた。

「・・・ここは女城主の城じゃなかったはずだけど」
「年に一度ぐらい、働いてくれている女衆を労ってやってもいいでござろう?」

女子供達が騒いでいるということは、つまり、働いているのは男衆である。
いつもならば腕をまくり食事の用意に精を出すものや掃除に精を出すものが、今日は全て男である。
慣れぬ作業に右往左往する者もいるが、常から働き者が多いここでは、それで不平や不満が出ることはないのだが。

「せめてあんたぐらいは向こうに混じったら?」
「・・・お、お前はあの場に、某に混じれというのか!破廉恥な!」
「破廉恥って何よ、破廉恥って」
「お、おおお女子衆が、集って、楽しげに雑談しておるところに、男が混じるなど破廉恥でござる!」
「・・・ああ、そういうことですか」

相変わらず基準がよくわからない破廉恥発言ではあるが、今日のはまだ理屈が通っているような気がする。
しかし、やはり仮にも城主が厨で野菜を洗ったりしているのはどうだろう。

幸村は最初、掃除をすると言って雑巾を持ち、そのまま厠に向かい家人達を慌てさせた。
せめて同じ掃除をするのでも廊下とか部屋とかにしてくれと泣きながら止めた。
城主に掃除をさせるというだけでも憚られるものを、なぜいきなり厠に行くのか。
・・・幸村曰く、物が少ないからやりやすいかと思った、らしいが。

(こう、なんつーか、城主の自覚がないわけではないんだけど)
足りないところがあるのは確かだよなぁ、と横に並んで煮物の下ごしらえをしながら佐助は思う。
今幸村が佐助の横にいるのは、目を離すと何をしでかすかわからない主を監視するためである。
厨に幸村を入れるのは、火もあり水もあり刃物もある場所だけにどうにも賛成しかねたが、かといって掃除ならばいいのかと言われたらそんなこともないのである。
ならば佐助の側に、というのは家人の意見の一致を見たからだ。

今回の宴とて、常日頃表裏なく心から仕えてくれている者たち(この場合女に限られているが)を、雛の祭りに乗じて労うと言う、城主としては下の者達を気遣う良い行いであると思う。
まだ今頃は戦の気配も薄く、そこかしこに雪の名残もあるがそれでも春の来訪を喜ぶように花たちが蕾を膨らませ咲かせ、生き物達もそろそろと顔を覗かせる気持ちのいい季節だ。

しかしもう少し暖かくなればまた戦の時期が始まり、男達を戦場に借り出して城を留守にする。
その前に、またこれからも頼むと言う気持ちなのだろう。
ささやかな物だ、と幸村は言うが、そんなことをする主の方がきっと少ない。

毛氈を敷き、夫婦雛を飾り、菱餅を飾り、桃を飾る。
白酒、甘酒、茶とあられをその前に供え、災禍の身代わりを頼む。

大小様々な夫婦雛は皆で持ち寄った物で、布で作られた物もあれば、ただ紙で折られただけの物もあり、数も家の数だけ以上に揃っている。
その人形達を眺めながら、その日一日は家事も仕事もせずにおしゃべりに興じ、菓子や寿司などのつまめるもので腹を満たす。
その場に一切男衆がいないせいだろうか、会話は中々耳に痛いものや聞くに堪えないようなこともあるが、それも今日は無礼講。
そして小さく内緒話のように、自分が仕える主の優しさ、心遣いや思いやりを、誇らしく噂するのだ。

「で、この大根はどうすればいいでござるか?」
「切って剥いて煮る・・・んだけど、あんたがやると実が無くなりそうだから人参洗って」
「某とて大根ぐらいは切れる」
「手も切られそうで嫌だからさせない」

談笑に興じる女衆達を他所に、残された男衆はまた違う戦場で戦っているも同じだ。
厨での攻防は今のところ佐助に分が上がっているが、見ている者達はハラハラし通しである。

「某とて刃物の扱いぐらいは慣れているでござる」
「槍や刀とは違うの。包丁は慣れないと危ないからだめ」
「では、今慣れるでござる」
「年に一回使うかどうかわからないものに慣れる必要ないよ」
「けち」
「その口、捻り上げるよ」

野菜を洗うだけではつまらぬーと文句が出る。
もうまったくうるさいと、どこかに押し付けようにも、振り向けば一斉に目が逸らされて、押し付ける先すらも見つけられない。

(いい主だと思うけど)
それでなくても食事の用意は手間が掛かるのに、手の掛かる者まで任せるなよな、と愚痴をこぼしても。

「で、人参は葉も洗って食べるのか?」
「あんたは言われたことを黙ってしてて」

愚痴の持っていくところすら見つけられない。

そんな二人の様子を見た、無くなった酒のお代わりを取りに来た女衆達が、賑やかしく微笑ましい一組の主従の災禍を、どうか引き取ってくださいと夫婦雛に一生懸命祈るのは通りに適っていると思う、今日この雛祭り。


ひな祭り主従~~~
には、あまりならなかった。ちぇ。

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