硯 箱 の 筆

筆の進むままに

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どんよりな空

朝からどんよりしてます。風もすんごいし。

テンション下がるなぁ・・・。
今日は洗濯休みにしよう。うん。到底できる天気じゃない。
・・・主婦の風上にも置けないね!

とりあえず、昨日邪魔された小話を!
わかってる、7kは小話じゃない!orz

今日夜更かしできるかどうかは、主人の気持ち次第・・・。 拍手する拍手する




例えば今日がただの平日なら言わないのだけど。

「旦那、食べたら早く帰りなよ」
「・・・・・・わかっている」

明日から学期末の試験だと、食事時に嫌そうに言うのを聞いて。
かすかに顰められる眉間に、困ったものだと佐助は小さく溜息をついた。

試験範囲が発表されクラブ活動が休止されると幸村が佐助の家に来る時間は早くなる。
その反面、試験に備えての勉強のために週末でも泊まることを許さず、食事を済ませたら後片付けもしないうちに帰宅させる。
特に試験中は家に寄ることすら許可しないので、実質これから一週間ほどは幸村の顔を見られなくなるのだが、それが幸村がここに通いだす一番最初からの約束だったのでどれほど不満があろうとも覆されることはない。

幸村の通う学校は、特に進学校ではないが───むしろスポーツに力をいれている───得意科目にムラのある幸村は、やはりそれなりに勉強をしないと今の成績───中の上から上の下───は維持できない。
なので、平素でも佐助の家で勉強をしていることが多いが、やはりこちらにいると集中出来ないだろうと家に帰すのだが、どうやらそれが不満らしく、この時期はむくれてばかりだ。

「・・・ここで試験勉強するのはダメなのか?」
「だぁめ。大旦那とも約束してるし、ちゃんと帰って家で勉強しなさい」

このところ毎日のように投げかけられる言葉に、やはり今日も同じ言葉を返して。
大きく溜息をつくのを聞いて、こっちも我慢してるんだよ、と許してしまいそうになる自分の甘さに釘を刺しながら、佐助も小さく溜息をついた。





「───じゃあ、試験が終わったら来るから」
「うん。試験、がんばんなよ」
「わかった。佐助もさぼらず食事をするのだぞ?」
「はいはい」

玄関先で、ぐずぐずといつもより何倍もゆっくりとした動きで靴を履くのを眺めながら会話をする。
今日も食べてすぐに帰宅の準備をさせ、ついでに冷蔵庫の中身で幸村しか食べないような物も持たせる。
それには心底嫌そうな顔をしたが、会えない間に腐らせるのはお互いわかっていることなので、特に文句もなく、しかし仕草は乱暴にスポーツバッグに放り込んでいた。

「じゃあ・・・」
「うん。気を付けて」
「・・・佐助も、仕事、無理しないように・・・気を付けて」
「そうするよ。叱ってくれる人がいないからねぇ」

じゃあ立って、と靴を履いたはいいが立ち上がろうとしないのに、仕方なく腋に手を差し込んで。
しかし立ち上がるつもりがないからかいつもより重く感じる体を立たせるのは容易ではなく、結果同じように玄関先に座り込む。

「だーんな。そんなトコに座り込んでも、ダメなものはダメだよ」
「・・・・・・・・・わかっている」

視線は俯いたまま。不機嫌な様子を隠そうともせずに肩を落とすのを見て、年々扱いが難しくなってくるのを感じる。
けれど、だらりと落ちていた手がそっと佐助のジーンズの裾を引っ張り、きゅうと握るのを見れば叱るに叱れず、寂しいのだと態度で示してくれるのにはやに下がるしかない。

たかが一週間、されど一週間。
佐助の都合で顔が見れなくなるのは我慢できるくせに、幸村の都合で見れなくなるのは我慢できないと拗ねた態度が物語る。

その可愛らしさに、手が伸びるのは仕方ないことだ、と小さく言い訳をして緩く背から抱き込む。
こんなことをすると離したくなくなるから本当はしないほうがいいのだけど。
抱き込まれた幸村も、ぴくりと一瞬身を揺らしたけれど、甘えるように凭れかかって。
ほんの少し上がったような気がする幸村の熱を肌で感じて、釣られるように佐助の熱も上がった。

「試験が終わったら休みでしょ? そしたら思う存分遊びにでも泊まりにでも来ればいいから」
「わかっている」

そういう問題ではないのだと、言外に不満を込めて言う拗ねた口元を宥めるように指先で撫でれば、冬の寒さに晒されているせいか、ざらりと乾いた感触が伝わってひどく痛々しい。

「旦那、唇荒れてるよ」
「女子ではないのだから、荒れているからといっても何も困らん」
「切れたら痛いでしょ」

自分に頓着しないのはお互い様か。
一つ息を吐いて、ジーンズのポケットに入れっぱなしになっている薬用リップを取り出す。
機械の側は乾燥しがちな上に無意識に唇を噛む癖のある佐助は、冬の間は持ち歩いていることが多い。それは別に見栄えを心配するのではなく、切れた佐助の唇を見て幸村が無用な心配をするためだ。
(自分の心配もしてほしいものだけど)
あまりそれは期待できないだろう。

「ほら、塗ったげるからこっち向いて」
「必要ない」
「だぁめ」

強くではないが嫌がって抗うのに強引にこちらを向かせれば、少しばかり苦しそうな姿勢になってしまうのを体ごとこちらを向かせて向かい合う。
それに視線を逃がして俯くのにも、その頬から耳までを両手で包むようにして添えれば大人しく顔を上げて。
上目に見上げてくるその目元が少し染まっているのが今の幸村の心情を表しているようで、荒れて痛々しい唇の赤さと相まってひどく愛しくて。

魅かれるように、その唇に唇を重ねていた。

「───薬を塗るつもりだったんだけどねぇ」

二度、三度と重ねるだけの口付けをして。
小さくごちるように呟いてから、もう一度重ねて。
熱を持って熱いような唇を、舌で一舐めして名残惜しく離れた。

「さ、・・・」
「はい、おしまい。もーこれ以上は俺さまの理性がもちませんって」

何事か紡ごうとしている唇を指の一本で黙らせれば、それにも拗ねてみせる。
けれども口付ける間に握り締めた佐助のシャツを離さずに、緩く引いて甘えて。
もう一度、と視線が言うのは、黙殺して。

「これは舐めても苦くないけど、舐めないようにね」

微かに開いた唇に色のないそれを塗り、油分でつやつやと唇全体が光るのを確認してからそのリップを幸村の制服のポケットに落とし込んだ。

「佐助も荒れているのに」
「俺は予備があるから」

だから大丈夫、と今度は佐助の促すままに立ち上がった幸村の制服の乱れを軽く手で整えて離れる。
それには幸村も大人しく手を離し、されるがままに従う。
そうして佐助が幸村の腰に軽く触れた姿勢で横に並び、ドアを開けるべくノブに手を伸ばして。
けれど、それはノブに触れる前に幸村の手に取られ、役目を果たさず。

「旦那?」

この期に及んで、まだわがままを言うのかと口を開きかけた佐助の唇に、噛み付くように幸村が口付けた。

「・・・! こら!」

重なって、擦り付けられて。
最後に舌で舐められて、さっき佐助がしたことを繰り返していくのに。

「・・・ホントだな、苦くない」
「試さないの・・・」

苦々しく言う佐助と違って幸村の表情はいくらか晴れやかだ。
自分に塗られたものを佐助の唇に移して味見をするという意趣返しもかねてのいたずらは、どうやら幸村の寂しい気持ちを一時ごまかすのに役立ったようだ。
ぶつかられて腫れた気のする口元を手で隠して、今度こそはとドアを開く。
追い出すわけではないが、これ以上側でその熱を感じていたら、本当に手放せなくなる。

「最終日に来てもいいか?」
「友達と試験終了の打ち上げぐらいしたら?」
「それはまた別の日にする」

だから来るぞ、と一言言い置いて、ドアを支えた佐助の側をすり抜けるようにして帰っていった。

「───・・・ほんと、もう、さあ」

敵わないね、と幸村から移された熱を持ったままの唇に指で触れて、ひどく熱く感じたしばしの別れの口付けを佐助は何度も思い返した。




───冬ざれの くちびるを吸ふ 別れかな───
             毎日新聞「季節のたより」(1月29日)より



日野草城(ひのそうじょう)という方の句だそうです。
1月29日は草城忌。
だから本当はその日に上げたかったんですけど・・・orz

もう、くどいほどちゅーさせたかった・・・!
けど、永遠の別れでもあるまいし、と書きながらちょっと思いました・・・。
いや、一日千秋(つまり千年)だから、一週間なら七千年だよね・・・!

どっちがどっちにするか悩んで、どにかしてどっちともに仕掛けさせたかった結果がこんな感じ・・・。

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あんまり呟かないけど生存確認ぐらいにはなるはず。

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