硯 箱 の 筆

筆の進むままに

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さんぶんのいち

七夕。

ようやく話の終わりが見えたかなって感じなんですが。
が!
スクロールだけでうんざりする感じなので、いくつかに分けることにしましたorz
ていうか、今は一体いつでしょうって話しです。
ごめんなさい。

これで半分より少ないぐらい・・・で、オチまでもう少しなので、さんぶんのいち。
この話で、一応現代パロはくっ付いた感じなので、部屋を作ってもらうことにしました。
(・・・もっと早くに作ってもらえばよかったのに、とか、思わないでもない状態です・・・ごめんなさい)

そこにはうまくいけば相方も絵を入れてくれるみたいなので♪
戦国がやっぱりメインですけど、行事(こだわるなよ・・・)はやっぱり現代的ですから。。。

もう少し短くすむかと思った自分の至らなさに泣きたくなる気持ちです。
いくらかでも、楽しんでもらえたらいいなーという気持ちは変わりませんので、よろしかったらどうぞ!
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まるで当たり前のように足元に座って膝に手を置きのんびり寛いでいる幸村を見て、佐助は溜息をついた。

「旦那」
「なんだ?」
「まだ七時半なんだけど」
「こういうものは多少早くてもいいではないか」
「まあそうだけど」

ガイアナイト。
数日前に学校で配られたそのチラシは、環境問題に関する喚起を促す物で、七夕の今日を機会に一日の数時間───チラシには夜の八時から十時までと書いてある───を電気を消し、ロウソクの光の中で友人や家族、恋人と静かに語らう時間を持ちましょうというものだった。

それになぜか幸村が乗り気になってしまって、まだ佐助の食事も終わらない時間に、仏壇から持ってきたのだろう白い細いロウソクを数本手に持ち、さあ語ろう! と、一体あのチラシをどう読んだのか謎なことを言って、いつものようにソファの定位置に座り込んだ。

そんな幸村を怒る気にもなれず、とりあえずはソファに普通に座らせ、アイスココアとクッキーを渡してそれを飲んでいる間に急いで食事を済まし、食器を片付けて。
後は風呂だがそれは後回しにして、いくらなんでもあのロウソクはないだろうと、記憶を頼りに両親が結婚式で使ったという長いロウソクを探した。
仲が悪いわけではないのに互いの仕事が忙しいせいで(しかも母親は海外派遣で戻ってこない)いつ離婚するかしないかという状態の二人が、思い出を語るためにそれを使うとは到底思えない。
それならば今の機会に使ってやったほうが親切だろうと、記憶通りに物置の奥から出てきた一日中点けてもなくならなさそうな長さの派手なロウソクを適当な皿を受け皿代わりにして乗せ、居間に持っていく。

そしてそれを見た幸村が、まだ時間にもなっていないのに火を点け、部屋の明かりを消してしまったのだ。

「ロウソクもこれほど大きいと明るいものだな」
「そうだね。でもその分、部屋の隅っこが気になるけど」
「何が?」
「何か出そ・・・」
「わかった! それ以上言うな!」

別に意地悪で言ったわけではなかったが、ホラーが苦手な幸村にはNGワードだったらしい。
足元から膝の上へと慌てて飛び乗り、必死の形相で佐助に縋るとその口を手で塞ぐ。
薄明かりの状態だからよく見えないが、うっすらと涙まで浮かべているようだ。

「・・・ほふぇん」
「・・・いや、佐助は悪くない」
多分某が怖がりなのだ。
がっくりと佐助の肩に頭を預け項垂れる。
そのまま腕を肩に回し、佐助の首筋に甘えるようにぐいぐいと鼻面を寄せてくる。

幸村は自分が怖がりなのだというが、佐助はそうは思っていない。
本当に怖いのなら体がすくんで動けなくなるだろうと思うのだが、幸村は逆にその暗闇に突っ込む様子さえ見せる。
それに苦手としているのは暗闇ではなく、いきなり飛び出してくるゾンビや襲撃者なのであって、それらを自分から迎え撃つのであれば、怖いということもないのだ。
そういう状況になることはきっと一生ないであろうが、もしあったとしても返り討ちにしそうだと、こっそり佐助は思う。
幸村は臆病者でなく、むしろ勇猛果敢な武者であるといってもいい位だ。

(それに本当に暗闇が苦手なら、こういうイベントにも不参加だろうしね)

自ら進んで暗闇を作り、ロウソクの明かりひとつであるのを居心地のよいものとして振舞う。
どこが怖がりなのかなーと、幸村のホラー嫌いを佐助も普段失念しがちだ。

それでも驚かせたことには違いないので、背を軽く叩いてあやして顔を上げさせる。
謝るにも顔を見てちゃんと謝りたいし、今は節電もするという名目でエアコンも冷風機も稼動させておらず、窓からの生温い風をかきまわすだけの扇風機一つでしのぐにはこの天然熱源は正直かなり暑いのだ。

とにかく幸村は年中季節を問わず佐助にくっ付きたがる。
それを冬はともかく、夏は暑くないのだろうかと不思議に思い聞いてみれば「くっ付いていてもいなくても暑いものは暑い」という、いまいち返答としては疑問の残る言葉のあと、「だから佐助にくっ付いているほうがマシだ」と、更に疑問を増す言葉までくれた。

要するに自分は道連れなのだろうと解釈はしたが、如何せん頬が緩むのは仕方がない。
暑かろうと寒かろうと自分の側がいいと言ってくれたのだから、同じ気持ちである以上嬉しいばかりで。
だからあるがままに抱いて抱かれて引っ付いて、という状態であるのは、もはや日常になった。

「とりあえず俺様の失言でした。ごめん。───で、本題だけど」
「うむ。今日は語り合う日らしいからな! 存分に語り合おうぞ!」
「や、語るって何を?」
「何でもだ!」

幸村がロウソクを背にして膝に乗っているので、佐助からは幸村の顔は逆光になってよく見えない。
それでも妙に真剣な口調と力の込められた腕の強さが、幸村が常になく緊張しているように感じられて佐助は首を傾げる。
(そんな気合入れなくても)
大体が語るって何だ、と会話は不得手ではないが、必要がなければ無理にしたいものでもないという考えの佐助からすれば、語れといわれても特に語ることなどない。

「某は! ・・・その、佐助に・・・話、がある」
「うん? 旦那の話ならいつでも聞くけど、なんか・・・難しい話?」
「あ、いや・・・どうであろうか・・・難しい・・・かもしれぬ」

少しずつ小さくなっていく声とうろうろと定まらない視線に、佐助の胸にふと不安がよぎる。
顔が見えないのが悪いんだよな、と感情のほぼすべてが出るその今の表情が見たくて、膝の上の体が落ちないように強く抱き寄せてソファに横向きになる。
背中を低い肘掛に預ければその低さゆえに寝転ぶような体勢になってしまったが、幸村の大きな瞳がくるりと驚きに見開いて自分を見下ろしている顔が、右側からのロウソクの明かりに照らされて見えるのに満足する。
手を伸ばし低いテーブルを引き寄せようと思ったが、何かの拍子で幸村がロウソクに当たって火傷をする可能性を考えてやめた。
怪我の可能性がゼロではないことは無理にする必要はない。

抱きしめたままだったので幸村も同じように引き倒してしまったのを、肩を押すことで起こしてやろうとすれば、逆に体重を掛けて全身で凭れてくるのを、苦笑で許す。

「重いんだけど」
「最初に引っ張ったのは佐助だ」
「不可抗力でしょ」
「佐助が原因であることに違いはないでござるよ」

幸村も満足げに笑んで、つんつんと指先で佐助の前髪をひっぱり遊ぶ。
こういう体勢で佐助に甘えるのを幸村は好む傾向にあるので、不可抗力とはいえ───いや、だからこそ嬉しさは倍増しているのだろうか。
こうやって乗っかられるのは佐助としては勘弁して欲しいところなので、進んでこの状態に持ち込むことなどなく、毎回幸村が力押しで縺れ込んでいるからだ。

「こんなカッコじゃ話も出来ないでしょ?」
「いや、これなら逃げられぬから、ちょうどいいでござる」
「別に話ぐらいで逃げやしないって」
「そのような事、わからぬでござるよ」

ぷぅと拗ねて頬を膨らませるのに、佐助の頬が緩む。
同い年の───細かく言えば数ヶ月とはいえ年上の、男の幸村に抱く感情ではないかもしれないが、佐助の目には可愛いとしか映らない。
顔立ちは整ってはいるが女顔ではなく、むしろ凛々しい類に入るだろうものだし、体格も華奢なほうかもしれないが鍛えられた筋肉がしっかりとついている。
よく食べるけれどそれに比例して運動量も多いから余分な脂肪も無く、女性のような柔らかさのない男らしい固い体をしている。
なのに、佐助の腕にはしっくりと納まって気持ちいいと思うのだから、もう頭が腐ってると言われてもまったく否定できない状態だ。
預けられる体には余計な緊張や力みがまったくなく、全幅の信頼を置いてくれているのだろうことがわかる。
暑い夜、温んだ空気が満ちる部屋は抱き合うにはまったく不向きで、薄ら汗もかいているけれど。
(離れたいような離れたくないような・・・でも、)
暑さを我慢できる間はこのままでもいいかな、と腕を緩くその背に回して一つ息をついた。

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