硯 箱 の 筆

筆の進むままに

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とりあえず書けた!

今月中に終わらすぞ!な目標だったのが、終わったので。

このところ日記でだらだら書いてた小話です。
読み返したらきっと全部嫌になるかもしれないので、ログで上げるときに修正は入れるかもですが、一応出しちゃいます。

途中だったから気になってたーという方も、もしかしたらいるかもしれないので、書きあがって自分が一番安心しました・・・。

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佐助の器用な指が、小気味よく動いて髪を乾かしていく。
ドライヤーの熱風が髪にあてられる前に、ろくに拭かずにいたのをタオルで拭いたのも佐助だ。
佐助が乾かすとわかっているときは、もう風呂から出た瞬間には面倒くさく感じてしまって、いつでも濡れたままでまるっと任せることにしている。
それを小言は言っても楽しそうに拭き上げていくから、こちらとしては反省しようという気にもならず。

「・・・佐助は、将来美容師になるのか?」
「は? 美容師? なる予定もつもりもないけど?」
「・・・そうか」

いつものようにソファの下の床に置かれたクッションに座り、風呂上りだからと渡されたスポーツ飲料で喉を潤しながら頭上から聞こえる佐助の声に耳を澄ませる。
髪をいじられるのはいつでも眠気を誘われるほどに気持ちよく、ドライヤーのたてる音すらも気にならないほどだ。
これほど上手いのならば仕事としてもやっていけるだろうにと思う反面、この手が自分の髪以外に手を掛けるのかと思えば少しばかり悔しい。
だから、つい、聞いてしまったけど。

「俺は旦那の髪をいじるのが好きなだけだしね。・・・ああ、でも、ちょっと勉強してカットとかもできるようになれたらいいとは思うけど」
「そのようなこと・・・できなくてもいいではないか」
「出来るようになれば、旦那の髪も切れるじゃない」
はい、おしまい。とかちりと音を立ててスイッチが切られる。

それを確認して、出していた道具を片付けるために立ち上がる佐助を横目に自分の髪に触る。
ドライヤーをあてられた髪は温かく、でも丁寧に塗り広げられた髪油───椿油だと佐助が以前言っていた───がしっとりとした手触りを作り出して、さらさらと絡まることなく糸のように髪を流す。
特に髪に思い入れがあるわけではないし、最低限見苦しくさえなければいいと思っていても。

「・・・見事だ・・・」
感嘆の溜息しか出ない。

いつもそう思うが、今回洗うところから始められた髪の手入れは殊更に手触りを良くしているようだ。
自慢ではないが、自慢できてしまうほど自分のこの髪はきれいだと思う。
女でもないのにと思っても、これだけ手を掛けられたら、粗雑に扱うのも切り落としてしまうことも出来ず、伸ばし始めて十年を越えても、切る機会を見つけられない。

「切るのは佐助が手入れを止めたらでござるな・・・」

それが明日なのか十年後なのかは佐助次第で、出来れば一言言ってくれたらいいと思うけど。

「何呆けてんの。眠い?」
「いや、いつもながら見事だと思って。まだ眠るには早いでござろう?」
「ん~、寝てもいいとは思うけど、起きてたい?」
「・・・佐助に呼ばれてからまだ風呂に入ることしかしておらぬ。何かさせるために呼んだのではないのか?」
「ん? 別に? まあゲームでも読書でもしたいことしてくれていいんだけど」
「・・・なんだそれは」

どっこいしょーと、腋の下に手を入れられ、それこそ子供にするように立ち上がらされて、ソファに座らされて。
問うた疑問への答えは、その行為以上に疑問だらけだ。

「では某は何のために呼ばれたのだ」
「や、一人暮らしもボチボチ飽き気味だったし、ちょっと旦那に泊まりに来てもらって、まあ、髪の手入れでもさせてもらおうかなーとか?」

その為に一時間掛けて髪を洗い、乾かすのにも一時間掛けたというのだが。
「俺様、超満足」

そう言われてしまうと、何もしていないとはいえ来た甲斐はあった気がするから困る。
できれば佐助の役に立ちたいとか、何かを手伝いたいとか、そう思うのはもしかしてわがままなのだろうか。

「二十四時間あるぞ。他にしたいことはないのでござるか?」
「髪の手入れ以外か・・・あ、そうだ。新しい髪紐買ったんだった」

だからそれをなぜ某に買わせぬ!と叫びたいのは我慢した。
どうやら髪紐を揃えるのは佐助の趣味らしく、もう十本は越えているはずだ。
絹で出来ているというその紐は安いものではなく、髪紐と呼んではいるが髪用でもないようで。

細かく編まれた紐は、すべすべしていて自分では結べないので、普段佐助に結わえてもらっている。
学校で解けた時も佐助に直してもらうのは幸村が決めたことだ。
多分、この紐で結わえるのを他人にさせるのは佐助が嫌がるだろうと思ったからだ。
だからそれができないときは、太目の髪ゴムで結ぶ。
髪が痛むといって怒られても、いない佐助が悪いと言って。

今日のは濃い赤色に、先に小さく房が付いたどうにも女性向けっぽい紐だった。
いつでも明るい色が多いが、今回のはひときわ赤い色が鮮やかだ。
それをいつものように後ろで髪を束ね、その根元に巻きつけられて。
くるくると何回か巻いているのはわかるが、出来上がりを見ることはほとんどない。

「よし、と。うん、よく似合ってる」
「佐助は赤い色が好きでござるな」
「好きってより、旦那に似合う色だからさ。なんかつい買っちゃうんだよなぁ」
「・・・・・・」

似合うと言われれば嬉しくないはずがなく、女物みたいだとか可愛らしすぎて恥ずかしいとか言えなくなる(そして言う気までもなくなる)
佐助の場合、衝動買いも計画的な買い物もほとんど全部が自分のためで、それはとても申し訳ないけれど、代金を払うといえば嫌な顔をするのだ。
だから幸村は笑って受け取ることにしている。
そうすれば佐助の笑顔が見られるし、優しく髪を結い続けてもらえる。

「まだ二十二時間あるぞ。次は何でござるか?」
「次? ・・・次かぁ。うーん、旦那なんかない?」
「某に聞いてどうする。何でもするぞ?」
「うん、だから旦那何かして欲しいことない?」
「・・・してほしいこと」
「うん。残り時間は旦那の世話するんでいいや」

髪を結うときにソファの後ろに回ってそのまま後ろで髪をいじり続けているのに振り仰げば、楽しげに笑う佐助の顔があって。
一日を自由にさせてほしいと言っておきながら、その「自由」は自分の世話をすることだという。

「それは・・・何かおかしくないでござるか?」
「どこが?」
「・・・どこが・・・って、某は佐助の言うことを聞くためにここに来たのでござるよ? なのに佐助が某の世話をするというのは・・・本末転倒? ではないのか?」
「旦那は俺に自由にしてもいいって言ったよね? だから俺は自由にしてる旦那を好き勝手に世話するの。間違ってないよ」
「そう・・・なのか・・・?」
「そうなの」

きっぱりと言われてしまうと反論のしようもない。
いや、佐助がそうしたいならそれに異を唱えることなどないのだが、それでもそれは何か違うような。
自然、腕を組んで考えるものの、自分の中の気持ちを上手く言い表す言葉が出なくて、眉が寄る。

「・・・それが嫌なら・・・」
「ん?」
「俺の膝に座ってもらって、映画でも見ようか。まだ見終わってないんだよ、『着信アリ』のシリーズ。一人で見るのもつまらないしって思ってたけど、旦那が膝に乗ってるなら楽しそうだしー」
「・・・!? お前・・・っ某がホラーは苦手だと知ってて!!」
「だってお世話されるの嫌なんでしょ? だったらもうこれしかないんだけどー」
「人が悪いぞ!」
「うん。悪いよ? どうする? 俺はどっちでもいいやー」

髪を優しく梳きながらのニヤニヤと人の悪い笑みは到底本気とは思えなかったが、それでも佐助はするとなったら徹底するほうだ。
きっと本当に自分を膝に乗せて映画鑑賞をするだろう。
予告だけで背中に怖気を走らせるような映画、見たくなど、絶対、ない!

「・・・っじゃあ! とりあえず・・・とりあえず、ココアが飲みたい」
「うん」
「マシュマロが入ってるのだ」
「うん、了解」

小さく苦笑を漏らすのが少しばかり癪だ。
いつでも佐助は余裕で、こうやって自分をからかっては笑うけれど、それでもその後優しくするから怒ることも出来ない。
それでもほんの少し意趣返しと、髪を梳く手を取って前に引き倒せば、逆らうことなくソファに倒れこんでくる。
そのままずるずる引っ張って足まで上げさせて、ソファに座るように体を反せば、すとんと隣に座るように納まる。
佐助の体は軽くて柔らかいから、多少無理な体勢でもどこも傷めることなく綺麗に動く。
それをいつも猫のようだと思い、見惚れるばかりだけれど。

「あと、明日の朝はママレードをたっぷり塗ったトーストとトマトの入った卵とベーコンとカフェオレだ」
「はいはい」
「夜は一緒に寝るぞ。佐助のベッドは大きいから、腕も足も腹も全部某の枕にして寝るでござるよ」
「ええ~? 旦那寝相悪いのにー。しかも全身枕って何」
「抱き枕だ。好きにしていいのでござろう?」
「うわ~、もしかして早まったかなぁ」

さすがに渋い声を出すけれど、ダメだとは言わなかった。
そんなに寝相が悪いのかと思うが、一緒に寝た日はいつもより眠りが深くて、朝も起きたら佐助は起きた後だから、一体どういう状況になっているのか自分ではわからない。

「・・・本当にいいのでござるか?」
「うん? 何、俺を蹴飛ばすとかしそう?」
「そうではない。その、・・・某は佐助に贈り物をしたことになるのか?」 
「───うん。ありがとう。貰ってこれほど嬉しいものはないって、俺は思ってる」
「佐助が考えることはわからぬ・・・」
「わかんなくていいよ。自己満足なんだから。さて、ココア?」
「ぬくいのだぞ」
「はいはい、りょーかい」

軽い動作で立ち上がるのを見つめ、キッチンに行くまでを見送る。
冷蔵庫から牛乳を取り出し、ココアの缶を取り手早く分量を量るその慣れた動作は、如何に佐助がその動きを繰り返してきたかで、それはやはり自分の為で。

何も欲しがらない佐助に、せめて携帯のストラップの一つでも無理矢理受け取らせなければと、きっとココアと一緒に持ってくる気なのだろう、佐助手作りのクッキーの入ったビンの口を開けるのを見ながら、強く心に誓った。



要するに、佐助が欲しいのは物じゃなくて幸村からの信頼だったり。
すっかり気を許して甘えてくれるのが嬉しいっていう、そんな話でした。
(それを幸村視点でするからこんなに長く・・・っ)
やたら髪に触るのは破廉恥行為の代償で、佐助はただのムッツリ助平でした。とか。
とかとか。
髪紐買うのも、あれだ、彼女に服とか靴とかを買ってあげるノリ。
わかりにくい男だな。


・・・こんなのを延々書いてすみません・・・ orz

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